"A Happy New Year!" 方々から新年の挨拶の言葉がかかる。計画していた訳では全くないが、運良くエチオピアのお正月に出くわしてしまった。エチオピアには独自の暦まであるのだ。
銀行が閉まっていたので宿の人の知り合いに両替してもらい、アジスアベバへの航空券を買った後、世界遺産にも指定されている王宮観光(写真)に出かけた。それ程面白いとも感じなかったが、ラリベラで同じ宿だったカナダ人と日本人に出会い、お互いの旅の話をした。南アフリカ共和国からアフリカ大陸を縦断し、イエメン、ヨルダン、トルコへ向かうらしい。又、新年ということで正装した子供を連れたエチオピア人家族にも出会い、写真を撮らせてもらった。しっかりポーズをキメテくれた。
昼食をとろうとレストランを探していると、朝会った子供に再会し、一緒に食べにいくことに。案内された店でエチオピアのポピュラーな料理、インジェラとワット(写真)を食べた。ワットとは野菜や豆を煮込んだ"おかず"でなかなかイケルが、インジェラという"パン"は妙に酸っぱい。「お〜い、くさってるよ〜!」って言おうかと思うくらい。子供が"Good for your stomach."と言うので、唐辛子もかじってみたが、めちゃめちゃ辛い!笑う子供に食べてみろと言うと、"We have another medichine"と口に入れようとしなかった。なかなか頭の良い子供だ。
2km程離れた浴場遺跡観光のついでに、近くでやっていたライヴを聞きに行ったのだが、これがアタリだった。新年を祝うお祭り(写真)だったようで、皆思い思いの格好でくつろいだり、踊ったり。エチオピア人2人組が話しかけてきた。日本にすごく興味があるらしく、互いの国の話をし、写真を撮り、アドレスを交換。ビールまでおごってもらった。
帰り道、別のライヴ会場を警備員さんと一緒に見学。道中、たくさんのエチオピア人と挨拶を交わした。いや〜最高。エチオピア人と付き合う間合いのようなものがつかめた気がする。物乞いを気にしなければ、人の良い方ばかりで、気持ちの良い付き合いができる。挨拶、握手の数はこれまでで一番多いのではないか。夕食は、昼間出会った日本人と一緒にとった。最高の一日。
朝、宿をチェックアウト。荷物を預け、コーヒーとドーナツの朝食後、散歩に出かけた。王宮へ。Lonely Planetにはチケットは滞在期間中使用可とあったので、もう一度見に行こうと思ったのだが、ここで腹立たしい事件が起こる。
チケットを見せると昨日のだと文句を言われた。じゃ帰ろうとしたところ、1人の男が"You cheat me. I know everything."と言ってチケットをくしゃくしゃにしたのだ。ムッとしたが、昨日ここへ来たこと、他の旅行者からチケットをもらった訳ではないこと、何なら写真があることを説明し、分かってもらった。ただ1人を除いて。例の男はチケットを返そうとしない。それどころか"Don't talk to me."などとぬかしやがる。テメエ…。人が集まってきていたが知ったことではない。初めは英語で、最後は日本語でまくしたて、捨て台詞をはいて帰ってきた。我慢できなかったです、はい。
このままこの町を去るのだけは避けたいと思い、祈るような気持ちで町のはずれを散策。やっぱりいろんな人が声をかけてくれましたです。鉄工場を見学させてくれたお兄さん、私の言葉をなぜか復唱し握手や写真を求めてきた子供たち、物乞いを追っ払ってくれた警官、CDを試聴させてくれたオヤジ…。すっかり気分は良くなった。あの一件さえなければ最高の思い出の地になったと思う。飛行機の時間までコーヒーを飲みながら絵葉書を書いて過ごした。