海に浮かぶ朱塗りの社殿…、日本に数ある神社の中でも厳島神社は独特な景観を誇ります。古代の宮島は神の島として崇拝されていたため、その陸地を避けた場所に厳島神社は建てられたと言います。
祭神は、日本神話に登場するアマテラス神とスサノオ神の誓約によって生まれた3人の女神。宗像三女神(むなかたさんじょしん)とも呼ばれ、古くから海上の守護神として崇敬を集めてきました。中でも、平安時代に日本初の武家政権を打ち立てた平清盛からの篤い信仰は有名です。
松島、天橋立と並んで「安芸の宮島」として日本三景に数えられ、1996年には世界文化遺産にも登録されました。

写真

アマテラスとスサノオの誓約(日本神話)

アマテラスやスサノオの誕生を、父親にあたるイザナギ神はたいそう喜び、アマテラス神を太陽の神に、スサノオ神を地上や海原を統治する神に任命しました。ところが、スサノオ神は亡くなった母親に会いに黄泉の国に行くといって泣き止まないため、とうとうイザナギ神はスサノオ神の追放を決意しました。
スサノオ神が追放前に姉のアマテラス神に挨拶しようと天に昇っていったところ、山河は鳴動し、国土は震動。アマテラス神はスサノオ神が高天原を奪いにきたと思い、武装して待ち受けました。
スサノオ神は疑いを解くため、誓約をして子を産もうと言いました。まずアマテラス神がスサノオ神の持つ剣を噛み砕き、噴き出した息吹から三柱の女神(宗像三女神)が生まれました。次にスサノオ神がアマテラス神の勾玉の珠の緒を噛み砕き、噴き出した息吹からは五柱の男神が生まれました。スサノオ神は、自分の心が潔白だから私の子は優しい女神だったと言い、アマテラスは訪問を受け入れることにしました。しかしその後、スサノオ神は乱暴狼藉を働き、物語は有名なアマテラスの天岩戸隠れへと続きます。

オススメ

厳島神社
フェリーが宮島に近づくにつれて、海中に建てられた大鳥居、そして平安時代の建築様式である寝殿造りの社殿が徐々に姿を現します。古代、神として崇められていた宮島の陸地を避ける形で建てられたのが厳島神社で、海に浮かぶ朱塗りの社殿は、日本の神社の中でも独特な景観を誇ると言っていいでしょう。
神社の中に入り、朱塗りの柱に囲まれた廻廊に足を踏み入れると、下の床板が隙間を空けて並べられているのに気づくはずです。この隙間は高潮時の海水の圧力を減らすためのもので、目透しと呼ばれます。そのまま奥へ進み、枡形と呼ばれる廻廊に囲まれたエリアを過ぎると、本社が現れます。祭神は日本神話に登場する宗像三女神。本社前にある高舞台は、舞楽と呼ばれる平安時代の舞踊のためのもの。ここで記念撮影をして、拝殿でお祈りをするのが観光客の定番となっています。

大鳥居 床板

弥山
厳島神社の背後にそびえる山が、弥山(みせん)です。厳島神社参拝後、弥山の麓に広がる紅葉谷公園を散策したり、弥山に上るのがオススメです。麓からの登山ルートもいくつか整備されていますし、宮島ロープウェイで獅子岩まで行けば、頂上まで徒歩約30分です。

紅葉谷公園 宮島ロープウェイ

ロープウェイ獅子岩駅を降りてすぐの獅子岩展望台からでも瀬戸内海の美しい景色を楽しめますが、体力に自信のある方は弥山山頂を目指すといいでしょう。弥山は古くから信仰の対象とされてきたため、手付かずの自然が残っていますし、弥山七不思議にも数えられる「きえずの火」がある霊火堂、その灰を混ぜて造られた「ねがい地蔵/ごめんね地蔵」など、見所も点在しています。又、弥山山頂からは瀬戸内海の絶景はもちろん、数多くの巨岩が転がる不思議な光景を楽しむことができます。

霊火堂 ねがい地蔵、ごめんね地蔵

表参道商店街、町屋通り
宮島のフェリーターミナルから厳島神社へ向かう途中にあるのが表参道商店街。飲食店や土産物屋が軒を連ね、いつも観光客で賑わっています。ランチなら「あなごめし」、スイーツなら「もみじ饅頭」が宮島の定番でしょう。一方、表参道商店街の一本裏手に延びるのが町屋通りです。昔ながらの古い町並みが残り、カフェや旅館も点在しています。

あなごめし

アクセス

JRで広島から宮島口まで行き、フェリーに乗って宮島を目指すのが一般的ですが、広島で原爆ドームを観光後、広島電鉄高速船で向かうこともできます。

旅のルート

広島駅を起点として公共交通機関で周る場合のルート例をまとめてみました。原爆ドームや平和記念公園などの広島観光後、宮島へ向かうルートになっています。

移動 観光 宿泊
1 広島→原爆ドーム前(広島電鉄 原爆ドーム
平和記念公園
広島
2 広島→宮島口(JR)
宮島口→宮島→宮島口(フェリー)
宮島口→広島(JR)
厳島神社
弥山
表参道商店街、町屋通り
広島
3 広島→