朝7時半に宿をチェックアウトし、Nさんとタクシーを拾ってバスターミナルへ。簡単な朝食をとった後、バスに乗り込んだ。途中休憩を入れてワルザザードに着くまで約5時間のバスの旅。車窓からは、北側の牧歌的な風景、南側の乾いた大地、そして頂に雪をかぶったアトラス山脈(写真)…。モロッコの民間バスは、噂に聞いていたほど乗り心地は悪くなく、少し古くて席が狭い程度。CTMに比べて本数が多いので、モロッコでは頼りになる足だと思う。
ワルザザートはカスバ街道への入口とも言うべき街。バス停から少し迷いながら、お目当ての宿にたどり着き、チェックイン。途中、次の街へのバスの時間を調べようとCTMバスターミナルへ寄ったが、返事は「ない」。明日再び民間バスにトライしようと思っていた。
宿で、近くにある世界遺産へのツアー情報を仕入れるついでに、Nさんが砂漠ツアーがあるかどうか聞いたところ、スクウラのカスバ(要塞のこと)→ローズバレー→トドラ渓谷→メルズーカと理想的なコースを回る2泊3日のツアーが950DH(12,000円弱)との返事。2人で125DHという世界遺産へのツアーと一緒に申し込んだ。これで砂漠に行ける!!! 砂漠へは、地道にモロッコ商人と交渉しながら、たくさんのバスやタクシーを乗り継いでいく覚悟をしていたが、これは順調な旅になりそうだ。それにしても、Nさんは英語がうまい。笑いもとれるのだから。私も関西人として、精進したいものである。
近郊にある世界遺産の名はアイト・ベン・ハッドゥ(写真)。モロッコの先住民ベルベル人が築いた城砦の1つで、特別な史実がある訳ではないが、その美しさのため、数々の映画のロケ地にもなったらしい。実は全くノーマークだったが、Nさんと話しているうちに私も行きたくなった。3年ぶりという雨に見舞われながら訪れたが、確かに美しい。丘に張り付くように土で砦が築かれており、周囲はまさにオアシスといった雰囲気。たくさん写真を撮り、ティフルトゥトのカスバという遺跡でミントティを飲んでから、宿へ戻った。
明日からの砂漠ツアーに備えて、スーパーマーケットで買い物をした後、Nさんと夕食。少し寒くなってきたこともあって、モロッコ版味噌汁のハリラが最高だった。途中から宿の主人も参加し(小さな街なのだ)、夜は宿の屋上でお茶を飲むことに。シャワーを浴びて屋上に集合し、ミントティを飲みながら、踊ったり、話したり、はたまた詩を読んだり…。モロッコの踊りを教わったので、ドジョウすくいを適当に教えておいた。宿の主人は名をアリといい、不思議な雰囲気を持った人。ビジネスマンであり、ハンドボール選手であり、詩人であり、旅人である。Nさんはアリから詩をプレゼントされていた。アリ曰く「君の分はない」。分かってるよ、そんなこたあ! "Life is good." 彼の言葉である。素敵な夜だった。