一人旅に戻った。さて、宿探しだ。辺りはすでに暗いが、この時の私には1つのこだわりがあった。 ”バスタブ付きの部屋で思いっきりくつろぎたい!” 途中出会ったモロッコ人に紹介された宿を含め、何件かあたっているうちに、旧市街から新市街まで歩いていた。距離にして3km余り。くつろぐどころか、わざわざ疲労を蓄積したような気もする。結局、バスタブはないもののシャワー付きの部屋を165DH(約2000円)で借りた。洗濯してシャワーを浴びると、すぐに眠ってしまった。
宿でゆっくりくつろぎ、11時頃フェズ散策へ。バスに乗ってフェズ旧市街、フェズ・エル・バリへ。複雑な迷路のように道が入り組んだ街で、世界遺産にも登録されている。ブー・ジュルード門(写真)からこの迷路に足を踏み入れた。
地図を見ながら歩く気は初めからなく、細い路地が入り組んだスークを気の向くままに歩く。ここでも多くのモロッコ人と商談。たくさんお茶をご馳走になった。結局買ったのはモロッコ音楽のカセットテープだけだったけど。砂漠ツアーのワゴンで聞いた音楽が気に入り、バンド名をメモっておいたのが役立った。"1,2,3 SOLEILS"というアルジェリア人のバンドでフランスでも流行っているらしいが、これがCoooool !!! 今でも手放せない一品である。
道すがら、モロッコ人が親しげに話しかけてくる。多くはガイドのお誘いだったりするのだが、単なる話好きも多い。次から次へと友達を連れてきては、名前を覚えさせて喜ぶモロッコ人。彼らは私1人の名前を覚えれば済むが、私はその友達全員の名前を覚えなければならない。ただでさえ名前を覚えるのが苦手な私…。しかし、頑張った。当たるごとに歓声が湧くのだから。人間、やれば出来るものだ。
マリーン朝の墓地と呼ばれる高台にも登ったが、ここは墓地とは言え、花が咲き乱れ、フェズ・エル・バリを見渡せる。これが絶景(写真)。気に入ったので、しばらくくつろいでいたら、また1人のモロッコ人が話しかけてきた。英語を話す人だったので、しばらく話をした。ドイツ語を勉強していること、来月からドイツ留学をすること、サッカー日本代表の中田選手を知っていること、彼女が2人いること…。すっかり打ち解け、携帯の番号を教えてもらい、夜になったらハンマム(アラブ式公衆浴場)に一緒に行くことに。ハンマムには興味があったので、願ってもないお誘いだったのだ。充実した夕食の後、公衆電話から電話してみたが、互いの場所があまりに離れていることが判明。明日行こうと誘われたが、多分明日はフェズにはいない…。残念だが、別れの挨拶をするしかなかった。フェズの空気を感じようと、新市街の宿まで歩いて帰った。