朝4:50約束通りピックアップが来た。交通飯店で残りの客を拾い、空港へ。メンバーは日本人が多く、機内でもニューヨークでレストランを経営しているという日本人のオジさんと話していた。
ラサの空港は山に囲まれており、降り立った瞬間チベットに来たんだと感じた。皆も同じらしく、カメラを取り出して写真を撮っていた。市内へと乗りこんだワゴンは、10分と走らないうちにパンク。文句を言う人はおらず、むしろこのトラブルを楽しんでいた。途中の山や湖の景色も素晴らしい。
宿は雪域飯店(通称スノーランドホテル)のドミトリーを日本人4人でシェア。宿のオバさんに荷物を持ってもらったにもかかわらず、階段を上がるだけで息が上がってしまった。湖や川があるとはいえ、ラサは標高3,650mの高地なのだ。高山病に気をつける意味もあって、少し休憩してから、同部屋の人達とチャイを飲みに行った。宿の目の前にある店なのだが、チベット人であふれかえっており、座っているだけで楽しかった。
すぐ傍にあるジョカン(写真)へ。大昭寺とも呼ばれ、チベット人が遠路はるばる参拝に来るラサ最大の寺院である。
チベット仏教徒の方々が五体投地(写真)をして祈りを捧げている。宿にいた日本人から、夕方7時以降ならチベットの人達と一緒に無料で中に入れると聞いていたので、まずはジョカンを1周する道路バルコルの散策に向かった。チベット僧、ラサ内外から来たチベット人、そして観光客も、チベット仏教の決まりに従って時計回りに歩く。たくさん露店が出ており、日用雑貨から土産物まで何でも揃いそうだ。ブレスレットを1つ買った。
昼食はジョカンを見下ろすレストランで、焼き飯とモモ(チベット餃子)を食べた。景色はいいし、飯はうまいし、英語を話すかわいい娘さんが給仕してくれるし、このレストランには毎日通う事になる。"See you !"と言うと、笑って"See you !"と返してくれた。ポタラ宮殿も見に行ったが、明日ツアーで中を見る予定があったので、近くの公園からただ眺めていた。チベット人の土産物売りの相手もしたが、なかなか商魂たくましい。
一端宿に帰り、少し寝てから再度ジョカンへ。中は荘厳な雰囲気。ろうそくの火、バターの匂い、そしてチベット仏教徒達の祈り…。一緒にお祈りさせてもらい、たくさんの仏様を見た。これまで見たどの国のものとも雰囲気が違う。少しヒンドゥー教を感じる仏様だ。明日のポタラ宮でも同じ感想を持つのだが、仏教とヒンドゥー教、何か関係があるのだろうか。充実した夕食(チーズケーキがうまかった)の後、同部屋の人達といろんな話をした。長い夜になった。
目が覚めると8時。街ではお祈りが始まっいる。ラサの朝は気持ちいい。昨日と同じ店でチャイを飲んだ後、9:30のピックアップに乗ってポタラ宮殿へ。高山病にかかってしまった人もいたようだ。ツアーに含まれているのはピックアップとガイドだけらしく、70元(約1000円)という入場料に皆で文句を言いながらも中を見学した。
ポタラ宮殿はチベット仏教最高の存在ダライ・ラマの宮殿で、世界遺産にも登録されている。赤い部分は紅宮、白い部分は白宮と呼ばれ、それぞれ宗教的儀式、政治が行われたらしい。金色に輝く仏様はタイの文化に、ストゥーパ(仏塔)があるのはネパールの文化に、そして仏様の表情は日本の文化に似ている気がした。中でも興味深かったのが、男女交合を表現した仏の像である。ヒンドゥー教寺院では見た事があったが、仏教寺院で見たのは初めて。ダライ・ラマに関する部屋もたくさんあり、チベット文化に触れる事ができた。
昼食はツアー参加者とジョカンを見下ろす例のレストランで。相変わらずとてもおいしい。ツアーでは午後ジョカンを見に行く事になっていたが、すでに昨日見ていたので参加せず、1人でラサを散策する事にした。本屋で絵葉書を買ったり、露店でマニ車(15元)を買ったり。マニ車とは中にお経の入った仏具で、1度回すと1度お経を読んだ事になるというスグレモノ。露店はかなりボッてくるので要注意だ。
1通り街の散策を終えた後、宿に戻って廊下のソファでくつろぎながら絵葉書を書いた。これがまた実に気持ちいい。穏やかな時間が過ぎていった。