ラサ flag

2001/9/5(水) ラサ

 午前中のツアーで連れて行かれたのはチベット博物館。完全に中国寄りの解説に違和感を覚える。
 昼食にヤクとポテトのシチューを食べ、郵便局で絵葉書を出した後、街を散策。ラサを流れるキチュ川を渡ると、全く違う空気が流れている。店が整然と並んでいるが、ほとんど人気がない…。宿に戻ると、皆が廊下に集まり、ウォークマンにスピーカーをつなげて音楽を聞いていた。チベットの空を見上げながら聞くClapton。誰も話をしようとはせず、ただただ聴いていた。

チベット僧の押し問答

 3時からのツアーでラサ三大寺院の1つセラ寺を見に行った。山に張り付いたように建てられていて、裏山には鳥葬場もあるという。ジョカンとはまた違う雰囲気で、比較的人が少ないのだが、えらく騒がしい一角がある。チベット僧が押し問答(写真)をしているのだ。何でも先輩格の僧が出す質問(トンチみたいなもの?)への回答次第で出世していくらしい。
 もう1つデプン寺というお寺も見るつもりでいたが、ガイド曰く「行く予定はない」。夜、同じ宿の日本人から聞いたのだが、サボってデプン寺の代わりに近くの博物館に連れて行くガイドがいるらしい。そのままだ

行きつけのレストランで

 ツアー終了後、ジョカンを見下ろす例のレストランへ。お世話になった娘さんに別れの挨拶をしておこうと思ったのだ。昼寝中を起こしてしまったようだが、明日発つと伝えると前の椅子に座ってくれた。しばらく2人で話をした。18才で働いている事、インド料理が好きな事、アメリカへの夢、中国に対する思い…。笑顔の素敵な娘さんで、心が動く。最後に1枚写真を撮らせてもらって、お別れ。今日は"Good bye !"と言ったのだが、彼女の返答は一昨日、昨日と変わらなかった。"See you !"
 温かい気持ちで街を散策。イスラムのモスクを見つけて祈りに同席させてもらったり、露店のおばさんと値切り交渉をしたり。そして再びジョカンを参拝した。

 たくさんの祈りに囲まれながら、ラサでの出会いを思い返していたはずなのに、ふと考え過ぎている自分に気付く。国とは、宗教とは…。チベットの雰囲気は中国のそれとは全く異なるものだし、個人的には同化してほしくないという気持ちが強い。しかし、チベットの国としての成熟度が高くはなかったのも事実ではないか。絶対的な存在を前提とする一神教の考え方は、ともすれば権力の集中を生み、多かれ少なかれ人間の力の効率的な結集を阻んでしまうという危うさを持つのではないか。絶対的に正しいものなど存在しないと、旅は僕に教えているのだが…。とはいえ、世界には、一神教を精神の拠り所にして実に豊かな生活をしている人々がいるという事も、旅は教えてくれるのだ。

 話がそれた。ラサ最後の夜を楽しもうと、カイラス・レストランという有名なお店へ。同部屋の人と一緒に行ったのだが、彼が昼間会った日本人女性を偶然見つけ、相席させてもらった。互いの旅をネタに話も弾む。ラサ、居心地のいい街だ。今度来る時も同じ宿に泊まり、例のレストランに通いたいものだ。その時まで、少しでもチベット文化が残っている事を心から祈りたい。旅行者のワガママだけど!

2001/9/6(木) ラサ→

 5時に起きて、バスで空港へ。朝日に照らされた途中の景色が美しい。



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